ナマコ(海鼠、英: sea cucumber)は、ウニやヒトデと同じ棘皮動物門の一種で、世界に約1,500種、日本近海には200種ほどが分布しています。
食用になるのは主にマナマコなど約30種類で、体は円筒形で、前端に口、後端に肛門があります。
口の周りには触手があり、海底の有機物を集めて食べます。
また、ナマコは海底の砂や泥を食べることで、海の底質を浄化する働きも担っています。
寿命は約5~10年。

【概要】(がいよう)
ナマコ綱は、棘皮動物門に属する動物の一群です。
この門の他の群(ウニ、ヒトデ、クモヒトデ、ウミユリ)は体軸を基盤面に垂直にした体をもつのに対して、ナマコ類は体が前後に細長く、腹面と背面の区別があります。
見かけ上は左右相称ですが、体の基本構造は棘皮動物に共通した五放射相称となっています。
体表が刺や硬い殻ではなく、比較的柔軟な体壁に覆われることもナマコの特徴です。
骨格の発達は悪く、細かな骨片として体壁に散らばっています。
雌雄異体ですが、外観から区別することは困難です。
ナマコは無脊椎動物としては大きく生育する方で、体長数十センチメートルの種類はざらです。
最大級のナマコであるクレナイオオイカリナマコは体長4.5メートル・直径10センチメートルに達します。
日本周辺の海域にはシカクナマコ科のマナマコが特に多く、食用にされるナマコもほとんどの場合はこの種です。
敵に襲われると、内臓を吐き出して逃げる「吐臓」や、体を自切して逃げる「自切」という行動をとることがあります。
【ナマコの生態】(なまこのせいたい)
●分布
すべてが海水生であり、淡水・汽水域には生息しません。
潮間帯から深海まで分布範囲は海洋全域に及びます。
大部分が底生で、潜行性のものも含みます。
深海に住むナマコには、ユメナマコなど浮遊性の種類も知られます。
サンゴ礁の海底や深海底の一部では、極めて大きな集団を形成することがあります。
日本では、千島列島から四国・九州にかけて広く分布し、水深40メートル以浅の海底に生息します。
●体色
主にアカナマコ(赤褐色)、アオナマコ(青緑色)、クロナマコ(黒色)の3種類に分けられます。
●移動
腹側の管足を使って海底をゆっくりと這うように移動します。
●摂食
口の周りの触手で海底の有機物を集めて食べ、砂や泥を細長く固めたような糞をします。
●防御
敵に襲われると、内臓を吐き出して逃げる「吐臓」や、体を自切して逃げる「自切」という行動をとることがあります。
●再生力
吐き出した内臓や切り離した体の一部は再生する能力があります。
【外部形態】(がいぶけいたい)
多くは細長い芋虫型で、腹と背の区別があり、前端に口、後端には肛門があります。
ナマコの体表は主にコラーゲンから成る厚い体壁に覆われており、体壁は柔軟で、伸縮性に富んでいます。
表面はクチクラに覆われ、内側には環状筋と5列の縦走筋があり、これらを使って呼吸や運動を行っています。
体重の90パーセント以上は水分で、深海の浮遊性ナマコは寒天質の体をしており、重量を減らすことで浮力を得ているとみられます。
【ナマコの種類】(なまこのしゅるい)
●マナマコ
日本で最も一般的な食用ナマコで、アオナマコ、アカナマコ、クロナマコなどの種類があります。
●オキナマコ
マナマコよりも大型で、沖合に生息します。
●キンコナマコ
常磐地方以北に生息し、体表が金色の光沢を持つのが特徴です。
●アカワタガジマル
沖縄・奄美大島に生息し、体が赤いのが特徴です。
【ナマコの利用】(なまこのりよう)
●食用
ナマコの筋肉、内臓、生殖巣などは珍味として珍重され、酢の物、塩辛、乾燥品など様々な料理に使われます。
●漢方薬
古くから滋養強壮や皮膚病に効果があるとして、漢方薬としても用いられてきました。
●サプリメント
ナマコに含まれるサポニンの一種「ホロトキシン」には、水虫の原因菌である白癬菌の成長を抑制する効果があるため、サプリメントにも応用されています。
【医薬品としての利用】(いやくひんとしてのりよう)
ナマコは漢方薬として古くから滋養強壮薬、皮膚病薬として用いられてきました。
中国語でナマコを指す「海参」は、その強壮作用から「海の人参(御種人参)」との意味でつけられた名前です。
朝鮮人参の主要薬効成分であるサポニン類は通常は植物の持つ成分ですが、ナマコやヒトデなど一部の棘皮動物にも含まれていることが明らかにされています。
ナマコが持つサポニンの一種ホロツリン(英語: holothurin) は強い防カビ作用を持ち、白癬菌を原因とする水虫の治療薬「ホロクリンS」として実用化されています。
ナマコのサポニンはキュビエ器官や卵巣に多く含まれ、この毒性を利用して魚を捕る小規模漁も行われています。
サポニンの界面活性作用を石鹸に用いることがあります。
【ナマコに関する豆知識】(なまこにかんするまめちしき)
●「海鼠」という漢字は、夜になるとネズミのように海底を這い回ることから、この名前がついたと言われています。
●ナマコは、敵から身を守るために、内臓を吐き出すことがあります。これは「キュビエ器官」と呼ばれるもので、魚のエラなどに絡み付いて、呼吸を止める効果があると言われています。
●ナマコは、海底の砂や泥を食べることで、海の環境を浄化する役割も果たしています。

