生物分類「界、門、綱、目、科、属、種」について

生物を分類する

 生物の分類について、古くから多くの生物学者により研究されてきました。
 現在の分類は、上位から「ドメイン」「界(かい)」「門(もん)」「綱(こう)」「目(もく)」「科(か)」「属(ぞく)」「種(しゅ)」に分けられています。
 「種」は生物分類上の基本単位となります。
 通常、同じ種の個体間でしか繁殖しません。
 また、同じ種でも分布する地域により色や形に違いがみられ、地域間で異なる集団と認められる場合は、「亜種」と言われます。
 なお、亜種の中で最初に学会に登録されたものを「基亜種」と言います。

ここで少し、生物分類についての歴史を見てみましょう。

 生物が分類されたのは、「分類学の父」とも言われているスウェーデンの生物学者カール・フォン・リンネが、1735年に二界説(植物界、動物界)を唱えたことが始まりとされています。
 因みに、1758年にリンネは、ヒトを次のような形態的特徴に基づいて新種として記載しています。

直立した時に、頭の重心は両足の間に収まる。
骨格は、直立二足歩行を支えられるしくみになっている。
前足(手)の付け根は体の両側にある。
後ろ足は前足よりも長く、かかとがある。
体の表面の毛は薄く、ほとんどの皮膚は裸出する。

 これにより、人間は「動物界脊索動物門哺乳綱サル目ヒト科ヒト属サピエンス種」という分類階級が与えられました。

 その後、顕微鏡の発明などにより二界説では説明が困難となり、1866年にドイツの生物学者エルンスト・ハインリッヒ・フィリップ・アウグスト・ヘッケルが三界説(植物界、動物界、原生生物界)を、1938年には米国の生物学者コープランドが四界説(モネラ界、原生生物界、植物界、動物界)を、1959年には米国の生物学者ロバート・ホイッタカーが五界説(モネラ界、原生生物界、植物界、菌界、動物界)を唱えました。

 更に、1977年に米国の微生物学者カール・ウーズがrRNAの研究を基礎にして、原核生物を真正細菌界と古細菌界に分けて六界説(真正細菌界、古細菌界、原生生物界、植物界、菌界、動物界)を唱え、1990年に提唱したドメイン説(細菌、古細菌、真核生物の3ドメインに分類)は界以上の分類法として標準となっています。
 1998年には、英国の生物学者トーマス・キャヴァリエ=スミスが修正六界説(細菌界、原生生物界、クロミスタ界、植物界、菌界、動物界)を唱えています。

 このように、生物の分類の前提となる系統の段階で諸説あり、見解は一致せず、現在でも界の数は定まっていません。
 しかし、二界説(動物界、植物界)は一般的に広く通用している界となっています。

※ここでは、提唱者の詳細な提唱内容や功績等については、割愛しております。